リネン

「マルシンスパ」の浴槽からは、渋谷区から世田谷区にわたる東京城西地区が一望できる。右側に世田谷ビジネススクエア、左端にキャロットタワー。「僕が住んでいた街」だ。 ーー 外の様子が伺えないほどの驟雨が降っていた。 水分量が多く、灰色の空とアスフ…

ドラゴンスレイヤー

おととい干した洗濯物はびしょびしょになっていた。昨日干したぶんは、大丈夫だった。 Apple Musicのプレイリスト「BEATsturuments」を再生している。 ーー 20代の半分を二日酔いに溶かしていいのか。 3日酒を抜いた。在宅勤務でも仕事に打ち込めている。脳…

水村美苗『日本語が亡びるとき』をバナナの皮のように横たえ、 荻野目洋子を耳に挿れながら ーー 自炊が増えすぎて、自分の作る料理に飽きてしまった、という友人の声をよく耳にする。 心の底から同感する。また、これはある人の一言ともリンクする。 とある…

ファーザー・ジョン・ミスティーのインタビューが良かった話

IoTスピーカー「Google Home」を買ってから、家でラジオを聴く時間が増えた。キーボードを打ったりフリックしたり、これまで当たり前だった動きにはかなりの身体的負担があったことを感じた。無印良品のアロマディフューザーのようなシンプルなデザインは、…

ブエナ☆ビスタ☆ホモ☆ソシアル☆クラブ②

ブエナビスタホモソシアルクラブ② 田園にシス 一番好きな季節は、と聞かれれば夏と答える。最近若者には夏の人気が再び高まっているらしいが、僕は単純に夏が一番過ごしやすいので好きだ。春と秋口は花粉症がひどく、鼻から気管支に紙粘土を流し込んだような…

ブエナ☆ビスタ☆ホモ☆ソシアル☆クラブ①

ブエナ☆ビスタ☆ホモ☆ソシアル☆クラブ 東北に向かっている新幹線の中ではじまりのひとことを書き出している。 (これを「はじまりのひとこと」と書くと松浦弥太郎っぽいし、「冒頭の一文」と書くと沢木耕太郎っぽい。) 行き先は八戸。目的は酒と肴。あと「移…

マウンティング

文章を書いてご飯を食べる仕事に就いて半年が経ちました。これくらいの若造では普通会えないような人に会わせてもらったり、たまに原稿を取り上げてもらったり、まさに会社のお金で勉強している、奨学生のような生活が続いています。 非常に贅沢な環境で学ん…

渋谷

渋谷 糸井重里は死んだ だがこの街は生き残った屋根裏から鼠が2匹逃げた やつらは「道」になってしまった野獣のうえにビルを建てて 圧倒 圧倒新聞記者の勘は正しかったんだ 共感は罪だよ わかりますって次言ったら100円な僕らは遊んでるようで 実は磨き合っ…

ビートルズ世代

昨年末、ビートルズの音源がストリーミング音楽配信サービス上で視聴可能になった。2010年にiTunes storeでダウンロード販売が可能になった時は大きく話題になったが、今回はサプライズに近い形でとつぜん公開された。Twitterの声を少し掬ってみる。「課…

表と裏

「私の作品の表面だけを、見てくれ」。アンディー・ウォーホルは、作品から自己を排除することを望んだ。作品で取り上げるのは「有名なもの」、まさしく「表面だけ」を見られてきたものたち、それらに向けてきた同じ眼差しを、彼は要求したのだ。 数々のスキ…

ジャーナリズムとアカデミズム

大澤聡「批評メディア論」を読んでいる。この中に、大宅壮一の言葉が引かれている。 「アカデミズムはひどく嫌はれているヂャーナリズムにとって、非常に大切なお得意になるわけだ。そのコツをうまく掴んで成功したのが岩波である。」 1930年代の日本の言論…

家族とリアリティー

とある会合。参加者全員が各々、短い話をする次第となった。私は、母の話をした。帰宅すると母の取り留めのない話に付き合わされ、苦労しているというよもやまだった。 スピーチの後、とある人が私にこう言った。 「まあ、君がマザコンってことはよくわかっ…

顔 「青い青い、空は白く 白い白い、空は黒く 黒い黒い、空は青い」。娘の絵日記を盗み見てしまった。夏休みの宿題らしい。海の日に帰省したとき、近くの海岸に連れて行った。妻が逝ってから、初めての里帰りだった。天気は芳しくなく、海水浴はおろか浜遊び…

空 97回目を迎えた2015年夏の甲子園は、神奈川県代表・東海大相模の優勝を以って幕を閉じた。怪腕・佐藤世那擁する宮城県代表・仙台育英は、通算8回目の決勝へ駒を進めるも、悲願の初優勝にはあと一歩届かなかった。高校野球100年の節目となった今年も、深紅…

本①

一般的な話をしたい。「極めて一般的に言えばね」、僕は妙な日本語を使い続けている。なぜなら、シネフィルも仏文もミソジニーの話も、総じてジャーナリスティックじゃないからだ。新聞に載る話、全国に刷られて、流通していいような話…それが、「話」だ。 …

映画

映画のハードルは高い。何が、という話になるけど、それはいろいろ高い。本数、評論、知識、「好きな映画は?」質問、デート手段として、映画鑑賞の値段、などなど。先日、Filmarksというアプリを始めた。観た映画や、観たい映画を保存することができる。子…

選択

ゴーギャンの作品「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」は、形而上学最大の問題のひとつ、「存在」について我々に問う。子供・成人・死に怯える老婆、非西洋的な偶像を順に並べ、神学・時間・歴史そのどれもが説明でき…

「王国」と「ひっぴぃ」

二つの写真展を梯子してきた。東京国立現代美術館で開催されている『奈良原一高 王国』と、渋谷のギャラリー野上眞宏によるはっぴぃえんどの写真展。前者は三田の図書館で、校舎はニュースサイトで告知を見て、今日まとめて赴いた。 奈良原の作品は以前『ス…

言論と消費

言論をもっと気軽に吟味し、拡張し、場合によっては唾棄できる空間はないか、と常々考えている。あてもなく調べてみると、お眼鏡に叶うコンテンツはいくつか存在する。DOTPLACEなんかスマートでかっこいい。マス・メディアとのクロスオーバーがあり、閉塞感…