2015-01-01から1年間の記事一覧

表と裏

「私の作品の表面だけを、見てくれ」。アンディー・ウォーホルは、作品から自己を排除することを望んだ。作品で取り上げるのは「有名なもの」、まさしく「表面だけ」を見られてきたものたち、それらに向けてきた同じ眼差しを、彼は要求したのだ。 数々のスキ…

ジャーナリズムとアカデミズム

大澤聡「批評メディア論」を読んでいる。この中に、大宅壮一の言葉が引かれている。 「アカデミズムはひどく嫌はれているヂャーナリズムにとって、非常に大切なお得意になるわけだ。そのコツをうまく掴んで成功したのが岩波である。」 1930年代の日本の言論…

家族とリアリティー

とある会合。参加者全員が各々、短い話をする次第となった。私は、母の話をした。帰宅すると母の取り留めのない話に付き合わされ、苦労しているというよもやまだった。 スピーチの後、とある人が私にこう言った。 「まあ、君がマザコンってことはよくわかっ…

顔 「青い青い、空は白く 白い白い、空は黒く 黒い黒い、空は青い」。娘の絵日記を盗み見てしまった。夏休みの宿題らしい。海の日に帰省したとき、近くの海岸に連れて行った。妻が逝ってから、初めての里帰りだった。天気は芳しくなく、海水浴はおろか浜遊び…

空 97回目を迎えた2015年夏の甲子園は、神奈川県代表・東海大相模の優勝を以って幕を閉じた。怪腕・佐藤世那擁する宮城県代表・仙台育英は、通算8回目の決勝へ駒を進めるも、悲願の初優勝にはあと一歩届かなかった。高校野球100年の節目となった今年も、深紅…

本①

一般的な話をしたい。「極めて一般的に言えばね」、僕は妙な日本語を使い続けている。なぜなら、シネフィルも仏文もミソジニーの話も、総じてジャーナリスティックじゃないからだ。新聞に載る話、全国に刷られて、流通していいような話…それが、「話」だ。 …

映画

映画のハードルは高い。何が、という話になるけど、それはいろいろ高い。本数、評論、知識、「好きな映画は?」質問、デート手段として、映画鑑賞の値段、などなど。先日、Filmarksというアプリを始めた。観た映画や、観たい映画を保存することができる。子…

選択

ゴーギャンの作品「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」は、形而上学最大の問題のひとつ、「存在」について我々に問う。子供・成人・死に怯える老婆、非西洋的な偶像を順に並べ、神学・時間・歴史そのどれもが説明でき…